今回は、皆様がお使いの『コスメ(化粧品)の価格』について考えてみたいと思います。
お使いの化粧品の価格は、高いとお思いですか?それとも適切だとお考えでしょうか?
私はマーケティングの専門家ではないので、化粧品価格について専門的なお話は出来ませんが、日頃、化粧品の販売価格に直結する『原料価格』や『包材(容器)価格』、『研究開発費』を意識して化粧品の開発を行っています。
その経験から、『コスメの価格の真実』と題し、私の考えを述べたいと思います。
この記事を書いている人
コスメデイン
- 大手化粧品メーカーで15年以上化粧品開発を担当
- 今も現役の化粧品開発者
- 美容雑誌の監修経験あり
- 現役の化粧品開発者が業界の最前線で得てきた知見を「コスメの真実」としてお届けします!
美容雑誌の監修に協力させて頂きました(一部抜粋)
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モノ(製品)の販売価格について
化粧品に限らず、モノ(製品)の販売価格は、どのように決まるのでしょうか?
(冒頭でも述べたように、私は化粧品製剤化のプロであり、お金の計算に関して、専門的なお話は出来ませんので、あらかじめご了承ください)
例えば、「X」という製品の販売価格を決めるとき、「X」を製造し、販売するために必要な、『様々な費用』を算出して『足し算』します。
例えば、「X」の『研究開発費 A』、『原材料費 B』、『人件費 C』、『包材(容器)費 D』、『宣伝費 E』などなど、専門的に言えば、もっとたくさんあると思います。
これらを足し算し(『A+B+C+D+E+・・・』)、その総額に、『利益 F』を乗っけます。企業ですから、利益分を上乗せするのは当然です。
つまり、製品「X」の販売価格は、それを製造し、売るために掛かった『総額』に『利益』をのせて決まります。
それぞれの費用を足し算するので、『積み上げ式』とも言えます。
かなり単純化しましたが、この『積み上げ式』が、最も一般的な、モノ(製品)の販売価格の決め方ではないでしょうか。
ですから、『販売価格』を下げるために、『人件費』が安い中国で製造したり、『利益』を削ったりします。
コスト競争に陥ると、ユーザーにとっては、お手頃価格でモノが手に入るので、ありがたいことですが、企業にとっては大変なことです。『人件費』や『利益』を削らないといけませんから。
ですから、極力、コスト競争になりたくないというのが、モノを製造し販売する企業(製造業)の本音です。
では、『化粧品』はどうでしょうか?ご説明した通り、各費用を足し算する、『積み上げ式』で販売価格は決まるのでしょうか?
化粧品の販売価格はどのように決まる?
この記事で、私が一番言いたかったこと、それは、『化粧品は価値が高い』ということです。
詳しくご説明します。
モノの販売価格は、ご説明したように、掛かった費用を足し算し、それに利益を上乗せする、『積み上げ式』が一般的だと思います。
では、化粧品はどうでしょうか?
化粧品も、原材料費や人件費、包材(容器)費などの「積み上げ式」です。ただし、様々な費用を積み上げる前に、一番初めに販売価格が決まっています。
新製品の企画が立ち上がってすぐに、今回の新商品(化粧品)の価格は「X」と決まり、そこから積み上げ(「Y」)、その差額が『利益』になります。
特質すべきは、この販売価格「X」が、積み上げた合計コスト「Y」を『はるかに上回る値』で、これは、「X-Y」の数字が大きい=『利益が大』、ということです。
つまり、化粧品は『利益大の商材』なので、国内化粧品メーカーで売上1兆円規模の会社はありませんが、『利益率が高く』、非常に儲かっています。
【何故、積み上げる前から販売価格が決まっているのか?】
化粧品は、どのような人に売りたいかという、『ターゲットが明確』です。新しいブランドを作る際、「年代」、「社会的地位(主婦 or 働く女性)」、「家族構成」、「(世帯)年収」など、ターゲットとすべきユーザー像を明確にします。このターゲット層であれば、「この価格なら購入して頂ける」と、価格設定しています。
また、『競合他社、競合ブランド』も明確に設定します。ですから、競合の商品と同価格に設定します。
以上のような理由で化粧品は、合計コストを積み上げる前に、販売価格を決めることが出来ます。
【何故、販売価格「X」は積み上げコスト「Y」をはるかに上回り、利益率大なのか】
これはつまり、冒頭で申し上げた通り、『化粧品は価値が高い』ため、積み上げコスト「Y」をはるかに上回る価格で売れます。
ここで注意すべきは、『モノの価値はユーザーが決める』ということ。ユーザーが、「価値なし」と判断したモノは、その価格では売れません。ユーザーが「価値あり」と認めているからこそ、高い価格で売れます。現代において化粧品は、幸いにも『価値あり(高価値)』と、多くのユーザーに認められているからこそ、『高い利益率』を維持できる業態なのです。
化粧品メーカーは、「化粧品は高価値でラッキー」と、調子に乗ってるわけではありません。高い価値を維持するために、『魅力的な美容理論』を出し続けますし、最近であれば、ポーラと資生堂のシワ改善医薬部外品のような、『革新的な商品の開発』を続けています。
▼ポーラ VS 資生堂 シワ領域の覇権を握るのはどっち?
化粧品は、ドラッグストアやコンビニで買える1000円前後のモノから、デパートや専門店で販売している数万円するモノまでと、価格の幅が広いです。
数万円する化粧品って、売れるのかな?と思いますが、購入するユーザー(ターゲット層)はちゃんと存在するので、売れるんです。
例えば、「1000円」の化粧品と、「3万円」の化粧品、販売価格は『30倍』もの差がありますが、先ほどの人件費や包材(容器)費などの、積み上げた総コストは、30倍もの差はありません。数倍程度です。
この価格差は何か?
それが『価値』です。3万円の化粧品には、ブランドの「世界観」、「実現するお肌」とそれを可能にする「美容理論」、高級感漂うラグジュアリーな「使用感」など、お値段に見合うだけの『価値』があり、ユーザーはその価値に納得して、購入します。
化粧品の研究開発は、『価値づくり』と言っても過言ではありません。
『高価値なモノ』、それが化粧品です。
化粧品を選ぶうえで『価格』は重要か?
世の中には「数万円」もする化粧品がたくさんあります。化粧品には、その価格に見合うだけの『価値』があり、ユーザーは、その価値に納得して購入します。
ですから、「数万円」の化粧品でも、その価値に納得して購入するユーザーはいます。しかし、現実的に、数万円の化粧品を購入できる方は限られているでしょう。
化粧品は毎日使う『消耗品』ですから、美しいお肌を手に入れるためとはいえ、化粧品を選ぶうえで『価格』は重要な要素ではないでしょうか?
ここで注意すべきは、基本、『価格』と『効果』は比例しないということ。つまり、価格が高ければ高いほど、お肌への効果も高いというわけではないのです。
先ほどもご説明した通り、化粧品の販売価格を決めるのは、『価値』であり、『効果』ではありません。
お手頃価格であっても、効果に変わりはありませんし、世の中には、「これだけの品質のモノをこの価格で?」と、びっくりするほど優秀なコストパフォーマンスの化粧品が存在するのです。
例えば、『アテニア』と『オルビス』。
『アテニア』は、ファンケルのグループ会社です。一時期、大きく業績を落としましたが、現在では見事なまでのV字回復を果たしています。
そのきっかけとなったのが、2016年1月に打ち出された『アテニア宣言』。
「一流ブランドの品質を、1/3価格で提供することに挑戦し続けます」と、アテニアは市場、ユーザーに向かって宣言しました。
もともと『高品質、低価格』がアテニアの理念でしたが、それを分かりやすく、より具体的に、明文化しました。
そして、オイルクレンジング、『スキンクリア クレンズ オイル』を発売。発売後、瞬く間にユーザーの支持を得て大ヒット。その年の『@コスメ ベストコスメアワード第一位』(クレンジング部門)に選ばれました。
そして、『時計美容』という新しいコンセプト(美容理論)を作り上げ、登場したのが『アテニア ドレスリフト』。お手頃価格は勿論、『時計美容』というコンセプトの秀逸さ(分かりやすく、説得力がある)が評価され、アンチエイジングブランドとして確固たる地位を築いています。
<クレンジング部門 @コスメ ベストコスメアワード第一位>
< 最高峰のコスパ 話題のアンチエイジングブランド 『アテニア ドレスリフト』>
そして、もう一つ、最高峰のコスパを誇るのが『オルビス』です。
「オルビス」はポーラグループの一員です。ポーラと言えば、訪問販売を中心とした、高級化粧品のイメージが強いですが、一方で、「オルビス」を立ち上げ、最高峰のコスパも実現しています。
守備範囲が広く、様々なターゲット層に対応していますね。
オルビスと言えば、私の中では、ニキビ化粧品『クリアシリーズ』ですが、様々なシリーズを取り揃えているので、是非お試しください。勿論、全てのシリーズのコスパは素晴らしいと思います。
<最高峰のコスパ 『オルビス クリアシリーズ』>
おわりに
いかがでしょうか?
化粧品に限らず、モノの価値はユーザーが決めます。その中で、化粧品は、ユーザーからの評価が高い、『高価値のモノ』と言えるでしょう。
しかし、毎日使う化粧品に何万円も使えない、というのがユーザーの本音ではないでしょうか?
今の化粧品の多くは、『安かろう悪かろう』ではありません。そのような化粧品は、いくら安くてもユーザー支持は得られませんから。
その中で、最高峰のコストパフォーマンスを誇るのが、『アテニア』であり『オルビス』です。
正直、私の中でのコスパNo.1は、長らく『オルビス』でした。業績が不調で、存在感に乏しかった「アテニア」とは反対に、通販業界のトップ集団にいる「オルビス」は、それだけ目立った存在でしたし、『オイルカット』というコンセプトも、インパクトがあって分かりやすい。
しかし、『アテニア宣言』以降の、『アテニア』の業績回復は素晴しく、売り上げ規模はまだまだオルビスに届いていませんが、現在は、オルビスの上をいく存在感を放っているのではないでしょうか?
<最高峰のコスパ 話題のアンチエイジングブランド 『アテニア ドレスリフト』>
<最高峰のコスパを誇る 『オルビス クリアシリーズ』>
※モノ(化粧品含む)の販売価格の決め方について、全てが、ブログ内で示した方法で決められているわけではありません。私個人の考え、経験であること、ご了承ください。