話題の成分（ジメチコン／ビニルジメチコン）クロスポリマーの役割は？

「（ジメチコン／ビニルジメチコン）クロスポリマー」の役割とその革新的な効果について、現役の化粧品開発者が詳しく解説します。

この成分は、シワや毛穴を瞬時に隠す形態補正コスメの開発を可能にしたキープレーヤーであり、化粧品の進化において欠かせない存在です。特に、カネボウの「マジカルチェンジ」のような製品によって、毛穴隠しコスメのブームが生まれ、今日の美容業界に大きな影響を与えました。

この記事を通じて、コスメ成分の背後にある科学と、それが私たちの美容習慣にどのように役立っているかの理解を深めることができるでしょう。

（ジメチコン／ビニルジメチコン）クロスポリマーとは？

「（ジメチコン／ビニルジメチコン）クロスポリマー」は、『３次元架橋シリコーン』と言われるもので、分かりやすく言うと『シリコーン』の『ゲル』です。

「（ジメチコン／ビニルジメチコン）クロスポリマー」、「（ジメチコン／（ＰＥＧ－１０／１５））クロスポリマー」、「（ＰＥＧ－１５／ラウリルジメチコン）クロスポリマー」、「（ＰＥＧ－１５／ラウリルポリジメチルシロキシエチルジメチコン）クロスポリマー」など、「シリコーンゲル」には様々な種類があり、『信越化学工業』の『ＫＳＧシリーズ』が有名です。

本記事の題名にもある「（ジメチコン／ビニルジメチコン）クロスポリマー」が、最も一般的なシリコーンゲルで、『ＫＳＧ－１５』や『ＫＳＧ－１６』があります。そこから、乳化機能を持たせた『ＫＳＧ－２１０』や『ＫＳＧ－３１０』と発展していき、今では、様々な機能を持った「シリコーンゲル」が存在します。

もともと『ＫＳＧ』は、信越化学と大手化粧品メーカーが共同で開発した原料で、今ではどのメーカーでも配合することが出来て、コスメには欠かせない成分となりました。

この『ＫＳＧシリーズ』の登場によって、新たに誕生したコスメがあります。

それが、今では当たり前になった、毛穴や小じわを瞬時に隠す『形態（凹凸）補正コスメ』です。『毛穴隠し』とも言われています。

毛穴隠しコスメの誕生

今でこそ当たり前の「毛穴隠し」ですが、ブームに火をつけ、定着させたのが、『カネボウ マジカルチェンジ』です。２０００年初頭だったと記憶しています。

ここで簡単に、『毛穴を隠すメカニズム』をご説明します。

毛穴隠しの基礎となっているのは、球状粉体による『ソフトフォーカス効果』です。

以下が「ソフトフォーカス効果」の詳細です。

シワや毛穴などの凹凸に光があたり、『陰影』が出来るため、お肌の凹凸トラブル（シワ・毛穴）は目立ちやすくなります。

『球状粉体』がこれら凹凸に入ると、光が『拡散』され、『陰影』が無くなるため、 シワや毛穴は目立ちにくくなります。

これが『ソフトフォーカス効果』です。

これまでは、球状粉体による「ソフトフォーカス効果」のみだったため、毛穴を隠す効果はありますが、効果に限界がありました。

そこで『ＫＳＧシリーズ』の登場です。

ＫＳＧは、「シリコーンゲル」です。シリコーンは『屈折率』が低く、光を『拡散』させる効果が高いです。

さらに『ゲル状』なので、シワや毛穴など、お肌の凹凸に入り込みやすく、「ソフトフォーカス効果」をさらに高めます。

「カネボウ マジカルチェンジ」は、『ＫＳＧ＋球状粉体』で、これまでとは比較にならない程の『毛穴隠し効果』でしたから、瞬く間に大ヒット。他メーカーもカネボウに追随する形で、毛穴隠しコスメを発売しました。

「（ジメチコン／ビニルジメチコン）クロスポリマー」に代表される、『ＫＳＧシリーズ』が無ければ、今の、シワ・毛穴隠しコスメは存在しません。

おわりに

いかがでしょうか？

「（ジメチコン／ビニルジメチコン）クロスポリマー」の役割とその影響についてご紹介しました。この成分は、シリコーンゲルの一種として、シワや毛穴を目立たなくする形態補正コスメの開発を可能にし、美容業界における大きな進歩をもたらしました。

特に、カネボウの「マジカルチェンジ」をはじめとする製品は、この成分の効果を最大限に活かし、毛穴隠しコスメの人気を牽引しました。しかし、私たちが理解すべきは、これらのコスメが提供するのはメイクによる即時的な改善であり、根本的な肌の問題を解決するわけではないということです。

この記事が、コスメ成分の背後にある科学を理解し、より賢明な美容選択をするための一助となれば幸いです。

※本記事の内容は個人の見解であって効果を保証するものではありません