日焼け止めコスメにおいて、汗・水に強いウォータープルーフ機能(耐水性)は、今では標準装備になりつつあります。
しかし実際は、
ウォータープルーフタイプは、一歩間違えると日焼けにつながり、非常に危険!!
この記事では現役の化粧品開発者がプロの視点で、ウォータープルーフタイプは危険&効果なし!についてご説明します。
この記事を書いている人
コスメデイン
- 大手化粧品メーカーで15年以上化粧品開発を担当
- 今も現役の化粧品開発者
- 美容雑誌の監修経験あり
- 現役の化粧品開発者が業界の最前線で得てきた知見を「コスメの真実」としてお届けします!
美容雑誌の監修に協力させて頂きました(一部抜粋)
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ウォータープルーフの解釈を誤ると危険!
「ウォータープルーフ」とは、水に対する耐性(『耐水性』)を意味します。
この表示がある商品は、「水に対して強い」、コスメの表現に置き換えると、「水に対して崩れにくい」ということになります。
ただし、日焼け止めやBBクリームなど、『SPF, PA表示アイテム』と、マスカラなどの『SPF, PA非表示アイテム』では、「ウォータープルーフ」の意味が全く異なりますからご注意ください。詳細は以下記事をご覧ください。
日焼け止めやBBクリームなどのSPF, PA表示アイテムで、ウォータープルーフ表示がある場合、「水に対して崩れにくい」ことを意味しますが、この解釈を誤ると非常に危険です。
誤った解釈は、日焼け止めを塗ったのに日焼けしてしまった!という『いつの間にか日焼け』につながります。
ウォータープルーフ機能がある日焼け止めは、SPF 50+ PA++++のように、『高機能タイプ』が多く、これらを使用のユーザーは、スポーツや海、プールなど、長時間、屋外で活動されると思います。
当然『紫外線量』も多いですから、このような環境下で『いつの間にか日焼け』をしてしまったら、肌ダメージは深刻になります。
ですから、これ以降の内容をしっかり読んで頂いて、ウォータープルーフに対する『正しい解釈』を身につけて頂ければと思います。
そもそもウォータープルーフというのは、水への耐性(『耐水性』)であって、汗や海水への耐性ではないです。
日焼け止めが崩れる主な原因は『汗』です。ウォータープルーフ機能があったとしても、これは、水に対する耐性であって、汗に対する耐性ではないということをしっかり理解する必要があります。
最重要ポイント
ウォータープルーフは、水への耐性(耐水性)であって、汗への耐性(耐汗性)や海水への耐性(耐海水性)ではない!
ウォータープルーフの商品で、「水・汗に強い」と表記しているモノが多数存在しますが、水への耐性を、汗および海水への耐性にまで『拡大解釈』しているメーカーに大きな問題があります。
何故なら、日焼け止めなどの化粧膜は、水には比較的強いですが(耐性がある)、汗や海水には非常に弱いです。
汗には『乳酸塩』、海水には『塩化ナトリウム(塩)』などの『電解質』が多量に含まれており、化粧膜は、水に強くとも、電解質を含む汗や海水には弱いのです。
ですから、ウォータープルーフだからと言って、汗や海水に対しても強いと考えるのは大きな間違いであり、この誤った解釈が、『いつの間にか日焼け』を引き起こすのです。
この、ウォータープルーフの誤った解釈による『いつの間にか日焼け』を防ぐ対策は2つです。
対策1:こまめに塗り直す
このブログでも再三申し上げていますが、日焼け止めの使用法で一番重要なことは『たっぷりの量をこまめに塗り直す』です。
日焼け止めのSPF, PAは、決められた環境下で、決められた量を塗布した時の数値です。この『決められた量』は、実使用の塗布量よりもかなり多いため、表示SPF, PAの効果を最大限得るためには「決められた量」に近づける、つまり、『たっぷりの量』を塗ることが重要なのです。
また、ウォータープルーフの日焼け止めは、確かに水への耐性はありますが、水に対して崩れないのではなく、崩れにくいだけですから、「水でも崩れない!」という過信は禁物です。
さらに、ウォータープルーフは、水への耐性であって、崩れの原因、『汗』や『海水』に対する耐性ではありません。ウォータープルーフタイプであっても、その化粧膜は、『電解質』に弱く、汗や海水で容易に崩れますから、汗をかいた後などは必ず『塗り直す』ようにしてください。
『塗り直し』は、「いつの間にか日焼け」を防ぐために、日焼け止めにおける最重要の使用法ですが、実際の使用場面では、ファンデーションをしている方もいらっしゃるでしょうから、日焼け止めの塗り直しは困難です。
そのような時は『UV スプレー』がおすすめです。
UV スプレーのメイン使用は、その特性から、私はおすすめしませんが、塗り直しの『サブ使用』であれば大変おすすめです。
UVスプレーはデメリットはありますが、『手軽さ』と『均一塗布』の点においては優れています。
ご自身がお使いの日焼け止めを、塗り直してお使いの方には必要ありませんが、しっかりメイクをされていて、塗り直しが困難の方は、『UVスプレー』をお試しになってはいかがでしょうか?
対策2:技術が搭載されている商品を選ぶ
ご説明したように、ウォータープルーフの日焼け止めには、「水・汗に強い」と表記されているケースが多いですが、ウォータープルーフは水への耐性であって、汗への耐性ではないです。
ウォータープルーフと表記するには、水に対する耐性試験を実施し、クリアする必要があります。クリアして初めてウォータープルーフと表記できますが、汗に対する耐性試験は実施していません。
ウォータープルーフの日焼け止めであっても、その化粧膜は、電解質を多量に含む汗や海水には弱く、容易に崩れてしまいます。
ですから、「ウォータープルーフ=水にも、汗にも強い」と考えるのは『拡大解釈』であり、『間違い』です。
ただし、世の中には、『耐汗性』(汗に対する耐性)を実現するための『技術』は存在します。
最も有名な技術が、資生堂の『アクアブースター』です。これは、汗や水に触れると、膜が均一になってさらに強くなる(崩れにくくなる)、水だけでなく汗に対する耐性を備えた『化粧膜技術』です。
資生堂の『アネッサ』に搭載されています。
日焼け止めに限らず、化粧膜はミクロな目で見ると、非常に『不均一』です。基本、コスメは指で塗布しますから、不均一さは仕方がありませんが、『不均一の箇所』から化粧膜は崩れていきます。
ですから、汗に対する崩れを防止するために、『膜の均一性』に着目した資生堂は、さすがです。
また、汗や海水に対する耐性ではありませんが、カネボウは、『摩擦(こすれ)』に強い『フリクションプルーフ』を開発しました。
これまでの日焼け止めは、衣服やカバンなどの『摩擦』でとれやすいものでした。「フリクションプルーフ」の化粧膜は『弾性』をもっており、仮に摩擦を受けても、化粧膜の形状を維持するためにとれにくくなっています。
摩擦によって化粧膜は変化します。従来は『剛直な膜』のため、摩擦によって壊れてしまうところ、今回は『柔軟な膜(弾性膜)』のため、変化はしますが壊れず、最終的に元の形状に戻る(形状維持)というわけです。
これが、摩擦に強い『フリクションプルーフ』です。カネボウ『アリィー』に搭載されています。
「ウォータープルーフ」は、水に対する耐性ですが、メーカー側が、汗や海水にまで『拡大解釈』しているのが実情です。
この誤った解釈は、『いつの間にか日焼け』につながりますから、非常に危険です。
世の中には、「アクアブースター」や「フリクションプルーフ」のように、水以外の、『汗や摩擦などへの耐性技術』が存在しますから、日焼け止めの崩れが気になる方には、確固たる技術が搭載された「アネッサ」や「アリィー」をおすすめします。
汗や海水で崩れない日焼け止めは存在しない!
処方化技術の進歩により、水に強い「ウォータープルーフ」の日焼け止めが標準になってきました。
確かに水に強く、崩れにくいですが、「決して崩れない!」というわけではありません。
程度の差はあれ、水によって化粧膜は崩れます。
資生堂の「アクアブースター」、カネボウの「フリクションプルーフ」は確かに素晴らしい技術で、『汗』・『摩擦(こすれ)』に対して格段に強くなりました。
ただし、
崩れにくいのであって、崩れないではない!
汗や海水、摩擦で崩れにくい日焼け止めは存在しますが、汗や海水、摩擦で崩れない日焼け止めなど存在しません。
私が心配しているのは、様々な要因に対する耐性技術は、開発に成功した研究者にとっては誇らしい事ですが、本当にユーザーのためになっているか?ということです。
確かに耐性技術は、『ユーザーニーズ』ではありますが、『崩れにくさへの過信』が、重篤な肌トラブルにならないかを危惧しています。
これら耐性のある日焼け止めは高スペック品ですから、これらを使用するユーザーは、『紫外線量が多い環境下』で活動をされるでしょう。
先程も申し上げたように、紫外線量が多ければ多いほど、『いつの間にか日焼け』による肌ダメージは深刻で、耐性がありすぎる日焼け止めは、崩れないという過信に陥りやすいですから、ユーザーを『いつの間にか日焼け』から守るためにも、過度な耐性は本当に必要か?と思います。
勿論、耐性が無いよりもあった方が好ましいですが、どのような日焼け止めをお使いでも、崩れることを想定し、『こまめに塗り直す』という使用法こそが最も重要であり、『いつの間にか日焼け』から守る唯一の方法です。
「ウォータープルーフ」に対して、『正しい解釈』で日焼け止めを選ぶとともに、耐性へは過度な期待を持たず、『たっぷりな量をこまめに塗り直す』ことを心がけてください。
※本記事の内容は個人の見解であって効果を保証するものではありません