『プチプラコスメ』
「プチプラ」とは、『プチプライス』の略で、価格が安いコスメのことです。
「プチプラコスメ」に関するブログもたくさんあって、大人気です。
しかし、「プチプラ=価格が安い」ということは、『効果が無い?品質が悪い?』と、心配するユーザーも多いのではないでしょうか?
そこで今回は、『プチプラコスメの真実』と題しまして、化粧品開発者の私がプロの目から見て、プチプラコスメはおすすめ?効果がある?などの疑問にお答えします。
この記事を書いている人
コスメデイン
- 大手化粧品メーカーで15年以上化粧品開発を担当
- 今も現役の化粧品開発者
- 美容雑誌の監修経験あり
- 現役の化粧品開発者が業界の最前線で得てきた知見を「コスメの真実」としてお届けします!
美容雑誌の監修に協力させて頂きました(一部抜粋)
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プチプラコスメ
私が化粧品業界に入った当時は、『プチプラコスメ』という言葉はありませんでした。ここ数年ですかね。この言葉が定着して、よく聞くようになったのは。
しかし、『プチプラコスメ』という言葉が独り歩きして、「プチプラコスメ」に対する定義が非常に曖昧です。
『価格が安いコスメ』という意味は共通していますが、「いくら以下なのか?」「どのくらいの価格帯のコスメをこう呼ぶのか?」が、不明確です。
ネットを見ると、500円以下とか、1000円以下とか、中には、1800円以下といったような表現が混在しています。
コスメの価格を高いと思うか、安いと思うかは、ユーザー次第ですから、「〇〇円以下」と定義するのは無意味かもしれませんが、私が訴えたいのは、「価格が安いコスメ(プチプラコスメ)」と「コスパが良いコスメ」は全く異なるという事です。
よく、「コスパがいい!」とか「抜群のコスパ!」と言いますが、これは、ただ単に価格が安いコスメではなく、『高い品質でありながら、価格が低いコスメ』ということです。
つまり、『コスパ』には、『高品質』が絶対条件であり、ただ単に「価格が安いコスメ」に品質は伴いません。
プチプラコスメを、「コスパがいいコスメ」、つまり『高品質のコスメ』と考えていいのでしょうか?
「コスパがいいコスメ」の代表格が、『アテニア』と『オルビス』です。両社はそれぞれ、「ファンケル」と「ポーラ」のグループ会社であり、研究母体がファンケルとポーラですから、品質に疑いの余地はありません。
それでいて、あの価格を実現していますから、化粧品開発者の私から見ても、『驚きのコスパ』です。
しかし、「アテニア」や「オルビス」をプチプラコスメと考えるには非常に抵抗がありますし、何より、「アテニア」・「オルビス」自身が、自社をプチプラと扱われるのは不本意と考えているのではないでしょうか?
何故なら、「アテニア」・「オルビス」は、低い価格(お手頃価格)を実現している以前に、『品質』にこだわり、『品質』に絶対の自信を持っているからです。
これはつまり、「プチプラコスメ」を「コスパがいいコスメ」と同義と考えるには無理があって、やはり「プチプラコスメ」とは、『価格が安いコスメ』のことであって、そこには『品質は伴わない』と考えるのが自然ではないかと思います。
これはあくまで私個人の見解ではありますが、何年も何十年も、化粧品事業を展開し、化粧品の研究開発に邁進してきた化粧品会社や化粧品関係者にとって、自社のコスメを「プチプラコスメ」として扱われるのはあまり気持ちのいい事ではありません。
賛否両論あろうかと思いますが、以上の理由から私は、「プチプラコスメ」を、コスパがいいコスメとは全く別物の、『品質が伴わない価格が安いコスメ』と定義します。
ただし、品質が伴わないからと言って、「プチプラコスメ」を全くおすすめしないと言っているわけではありません。
コスメの価値は、品質だけで決まるものではなく、『価格』も重要な要素です。
「プチプラコスメ」は、『品質が伴わない価格が安いコスメ』であることを前提に、「プチプラコスメ」を楽しむために、私が考える注意点を述べたいと思います。
プチプラコスメには本当に品質が伴わないの?
プチプラコスメを楽しむための注意点の前に、「プチプラコスメ=品質が伴わない価格が安いコスメ」と定義しましたが、本当にプチプラコスメには、品質が伴わないのでしょうか?
確かに中には、品質が伴うプチプラコスメもあるかもしれませんが、一般論として、やはり『品質が伴わない』と考えるのが妥当でしょう。
何故なら、コスメの販売価格には『高品質を実現するための必要経費』が含まれるからです。プチプラコスメのあの価格で、高品質を実現するための必要経費(研究開発費)が含まれているとは考えられません。
品質には、『使用感』・『安定性』・『安全性』が含まれます。
コスメは毎日使って頂くことではじめて効果を発揮します。毎日使って頂くためには、『快適な使用感』が必須です。これを実現するために、我々化粧品開発者は、何度も試作を繰り返しますし、高価な原料を配合したりします。
また、コスメには『3年間の品質保持』が義務付けられており、ユーザーに3年の長きにわたって、大きな問題なく使って頂くために、経時安定性を確認したり、防腐力試験を実施したりします。
さらに、コスメは『安全であること』が大前提ですから、コスメの安全性に問題がないか、『ヒトパッチテスト』や『代替法』などによって、安全性に問題がないかを確認します。
このように、高品質(使用感・安定性・安全性)を実現するには、『原材料費』や『研究開発費』が必須であり、これがコスメの販売価格に反映されます。
ですから、プチプラコスメでは、最低限の品質確認は実施しているでしょうが、それ以上の検討はなされていないというのが私の見解です。
現に、「色が変わった」とか「匂いがきつくなった」とか「分離した」といった、コスメの品質に関わるマイナスの声を、プチプラコスメではよく耳にします。
ですから、やはり私は、『プチプラコスメ=品質が伴わない価格が安いコスメ』と定義させて頂きます。
プチプラコスメであれば「メイク品」を選ぶべき!
では、プチプラコスメを楽しむための注意点ですが、プチプラコスメであれば『メイク品』、特に『ポイントメイク』を選ぶべきと私は思います。
ポイントメイクには、『色を楽しむ』という要素があります。その時の気分に合わせて「色を変える」というのもポイントメイクの醍醐味です。
しかし、ある程度の価格だと、たくさんの色を揃えることは経済的にちょっと厳しいです。しかも、実際に購入して使ってみたら、「想像と違う色だった」とか「想像と違う質感だった」という経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
「プチプラコスメ」であれば価格が安いですから、たくさんの色数を揃えますし、万一、失敗しても(色・質感が合わない)、それほど被害は大きくありません。
また、「自分には合わないかも?」と思った色でも、冒険して買うこともできます。
『アイカラー』や『ネイル』であれば、「プチプラコスメ」でたくさんの色を揃えている方も多いと思います。
ただし、『スキンケア品』の「プチプラコスメ」はおすすめしません。
「メイク品」には、色を楽しむという要素はありますが、「スキンケア品」には楽しむという要素はないからです。
スキンケア品は、毎日お手入れをして、『肌を健やかに保つモノ』です。毎日使い続けて頂くための『快適な使用感』は必須ですが、楽しむためのモノではありません。
先程も述べたように、「プチプラコスメ」には品質が伴いませんから、品質が伴わないスキンケア品を使い続けることは非常に危険です。
知らず知らずのうちに肌を傷つけ、気づいたら手遅れという事態になりかねません。
世の中には、「アテニア」や「オルビス」のような、『コスパがいいコスメ』が存在しますから、メイク品はプチプラコスメで楽しむ、スキンケア品はコスパがいいコスメで確実なケアを実施するという使い分けをおすすめします。
おわりに
いかがでしょうか?
プチプラコスメを「品質が伴わない価格が安いコスメ」と定義しましたが、これは私個人の見解である旨、あらかじめご了承ください。
ただし、私は化粧品開発者として、様々なコスメを見て触ってきましたから、あながち間違いではないとも思っています。
プチプラコスメを選ぶ際は『品質』にご注意ください。
ネットを見ると、「資生堂 アクアレーベル」や「カネボウ KATE」を『プチプラコスメ』と考え、紹介されているブロガーさんも多いようです。
私としては、これらはプチプラではなく、高品質で低価格な『コスパがいいコスメ』と考えていますが、もしこれらをプチプラと考えるのであれば、これらであれば安心して使うことが出来るコスメです。
何故なら、資生堂やカネボウが、プチプラの価格を実現するために、先ほど述べた高品質を実現するための費用を節約して、万一、品質トラブルを起こしたら、そのブランドだけではなく、資生堂・カネボウ全体の企業イメージを損なうことになります。
資生堂・カネボウに限ってそんなことはあり得ませんから、いくら価格が低くても、『確実な品質』を実現してきます。だからこそ、これらを私は『コスパがいいコスメ』と考えているわけですが、もし「プチプラコスメ」を選ぶのであれば、品質の観点から、資生堂やカネボウのような『大手化粧品メーカー』のモノをおすすめします。
※本記事の内容は個人の見解であって効果を保証するものではありません