『美肌菌』はご存知でしょうか?
美肌菌とは『表皮ブドウ球菌』の事です。表皮ブドウ球菌と言うと少し難しいかもしれませんが、詳細は後ほどご説明します。
「菌」と聞くと、悪いイメージがあるかもしれませんが、表皮ブドウ球菌は『善玉菌』とも言われ、肌にとって良い菌で美肌効果もありますから、『美肌菌』とも言われています。
最近だと、ランコムが美肌菌に着目したコスメを発売したばかりですから、今後、美肌菌はコスメ領域で注目を集めるはずです。
そこで今回は、化粧品開発者の私が、美肌菌とは何なのか?表皮ブドウ球菌とは何なのか?肌フローラとは?について、詳しくご説明いたします。
この記事を書いている人
コスメデイン
- 大手化粧品メーカーで15年以上化粧品開発を担当
- 今も現役の化粧品開発者
- 美容雑誌の監修経験あり
- 現役の化粧品開発者が業界の最前線で得てきた知見を「コスメの真実」としてお届けします!
美容雑誌の監修に協力させて頂きました(一部抜粋)
▶【2023年】乾燥肌向け保湿フェイスパウダーのおすすめ8選。プチプラ、ツヤ肌タイプなどLDKが比較
▶ 乾かないメイクは下地を要チェック! 成分&テクスチャーのポイントは? LDKが紹介
▶ ジュワッと発光肌! 乾燥季節こそハイライト使いがおすすめです。LDKが紹介
▶ 「肌が弱い=洗顔は弱酸性」は思い込み? 敏感肌のスキンケアポイントをLDKが紹介
▶ 「インフルエンサーの真似しよ」はNG?ベースメイクの秘訣をLDKがおすすめ
▶ 顔だけ真っ白!ファンデ失敗の回避方法をLDKがおすすめ
▶ 実はメイク落とせてない!?クレンジングの間違いない選び方をLDKがおすすめ
▶ 【日焼け止め】美容成分入りの思わぬ落とし穴とは?買う前に知るべき注意点(LDKおすすめ)
皮膚常在菌とは?
『肌フローラ』という言葉はご存知でしょうか?
肌フローラとは、我々の肌に棲む菌の集団の事です。『腸内フローラ』という言葉は有名ですが、腸内の菌については、ヨーグルトなどの食べ物でよく議論されると思います。
腸内フローラが腸内の菌であるように、肌にも様々な菌が存在します。これらを総称して『肌フローラ』と言います。
肌には様々な菌が存在します。菌は大きく、良い影響を与える『善玉菌』、悪い影響を与える『悪玉菌』、条件が整わなければ何も影響を与えない『日和見菌(ひよりみきん)』に分けられます。
肌上の菌で言えば、『表皮ブドウ球菌』や『サーモフィルス菌』が善玉菌、『黄色ブドウ球菌』が悪玉菌、『アクネ菌』が日和見菌です。
人の皮膚には、善玉菌・悪玉菌・日和見菌が数多く存在し、人の皮膚に存在するこれら菌を『皮膚常在菌』と言います。
また、善玉菌の中で、『表皮ブドウ球菌』は、保湿成分であるグリセリンを産生することから、『美肌菌』とも言われています。
後ほど詳しくご説明しますが、最近、皮膚常在菌に着目したコスメが増え、『美肌菌』という言葉も良く使われるようになりましたが、美肌菌とは『表皮ブドウ球菌』の事を指します。
同じような名前の『黄色ブドウ球菌』は、美肌菌(善玉菌)ではなく、『悪玉菌』ですから、お間違えのないようにご注意ください。
皮膚常在菌コスメとは?
最近、皮膚常在菌に着目したコスメが増え、先月、ランコムからも皮膚常在菌に着目したコスメが発売されました。
ランコムの人気美容液であるジェニフィック アドバンストに、皮膚常在菌の知見で得た技術を搭載させ『ジェニフィック アドバンストN』として進化しました。
この美容液は、ランコムの人気NO.1の美容液であり、それを6年ぶりに進化させ、その進化に選んだのが『皮膚常在菌』なのです。
皮膚常在菌コスメは他にも存在しますが、腸内細菌(腸内フローラ)に比べ、いまひとつ認知度が低いのが現実でしたから、ランコムが皮膚常在菌に目を付け新商品を発売したことで、今後、皮膚常在菌に着目したコスメが増えるだろうと思います。
ランコムがそうであるように、皮膚常在菌コスメは、表皮ブドウ球菌を『美肌菌』とし、美肌菌を前面におしています。
もともと美肌菌という言葉は、2010年ごろ生まれた、比較的新しい言葉です。皮膚常在菌には様々な種類が存在しますが、その中でも『表皮ブドウ球菌』が、保湿成分である『グリセリン』や、肌を酸性に保つ『酸性成分』を産生する事が分かりました。
グリセリンや酸性成分は、肌にとって非常に有用ですから、これらを生み出す表皮ブドウ球菌を『美肌菌』と言うようになったのです。
ですから、いかに美肌菌(善玉菌)を増やし悪玉菌を減らすかが、世の皮膚常在菌コスメの着目点です。
言い換えると、表皮ブドウ球菌(善玉菌=美肌菌)を増やし、黄色ブドウ球菌(悪玉菌)を減らすことが重要であり、これを可能にするのが、ランコムに代表される皮膚常在菌コスメです。
どのように皮膚常在菌を改善するのか?
表皮ブドウ球菌(善玉菌=美肌菌)を増やし、黄色ブドウ球菌(悪玉菌)を減らす事が皮膚常在菌コスメの役割ですが、一体どのようにするのでしょうか?
現在、それには『2つ』の方法があります。
まずは、『オリゴ糖』を配合するケース。
オリゴ糖は、表皮ブドウ球菌(美肌菌)の『餌』になります。これによって、表皮ブドウ球菌が増えます。そして、表皮ブドウ球菌が増える事で、黄色ブドウ球菌(悪玉菌)を攻撃し、やっつける事が出来るのです。
もう一つの方法が、ヒト由来の『乳酸菌』を配合するケース。
これもオリゴ糖同様、表皮ブドウ球菌を育む事に非常に効果的です。
成分名であれば、オリゴ糖は『α-グルカンオリゴサッカリド』、ヒト由来の乳酸菌であれば『エンテロコッカスフェカリス』になります。
勿論、美肌菌にいいとされるこれ以外の成分も存在しますが、現在の皮膚常在菌コスメは、これら成分を配合するケースが多いです。
代表的な皮膚常在菌コスメ(美肌菌コスメ)は?
ここでは、皮膚常在菌コスメ(美肌菌コスメ)として、『ドルチボーレ エセナ リペアローション』をご紹介します。
<皮膚常在菌コスメ>
世の中には、『クレンジング』や『洗顔』に、美肌菌を宣伝する商品も存在しますが、そもそもこれは大きな間違いです。
何故なら、クレンジングや洗顔などで洗い流すことで、美肌菌は流されてしまい、皮膚上にはほとんどいなくなってしまうため、洗い流し品に美肌菌を訴求することは『論理破綻』していると思われるからです。
洗い流されると言っても、美肌菌などの皮膚常在菌はどんどん増えていきますから、肌上から消えることはありませんが、一回洗い流すと、皮膚常在菌が復活するまで12時間以上かかるとも言われています。
ですから、「皮膚常在菌は重要だ!」とおっしゃる方は、『洗顔不要』と訴える方が多いです。洗顔によって皮膚常在菌が洗い流されることはよくないと考えているからです。
ただし、これは極論であって、皮膚常在菌を洗い流したとしても、その後のアイテムでケアすれば良いため、私は、洗顔不要とは全く思っていません。
『ドルチボーレ エセナ リペアローション』は、ヒト由来の乳酸菌である『エンテロコッカスフェカリス』を配合した化粧水です。
クレンジングや洗顔によって洗い流された皮膚常在菌を、乳酸菌配合の化粧水でケアすることは、皮膚常在菌を考えた場合、非常に理にかなっていると言えるでしょう。
おわりに
いかがでしょうか?
美肌を育む「美肌菌」の重要性とそのケア方法について解説しました。
美肌菌、特に表皮ブドウ球菌は、肌に良い影響を与える善玉菌として、保湿成分のグリセリンを産生し、肌を健やかに保つ役割を果たします。
最近の研究により、美肌菌を増やし、悪玉菌を減らすことが美肌への近道であることが明らかになりました。ランコムのような大手ブランドが美肌菌に着目した製品を発売するなど、今後、美肌菌を意識したコスメが増えることが予想されます。
美肌菌の力を借りて、自らの肌環境を整え、健康的な美肌を目指しましょう。美肌菌のケアは、オリゴ糖やヒト由来の乳酸菌を含む製品を選ぶことから始めてみてはいかがでしょうか。
<皮膚常在菌コスメ>
※本記事の内容は個人の見解であって効果を保証するものではありません