美白化粧品の選び方に迷っていませんか?
カネボウの白斑問題を受けて、美白コスメの安全性が大きな関心事となりました。この記事では、化粧品開発者の視点から、美白化粧品の選定における重要なポイントを解説します。
白斑問題の背景と、それによって浮き彫りになった美白コスメの安全性について深く掘り下げ、どのようにして安全かつ効果的な製品を選ぶかをご紹介します。美白成分の種類や作用メカニズム、そして選び方のコツまで、この記事を読めば、あなたに最適な美白コスメが見つかるでしょう。
本記事の内容
- カネボウ白斑問題を現役の化粧品開発者が詳しく解説
この記事を書いている人
コスメデイン
- 大手化粧品メーカーで15年以上化粧品開発を担当
- 今も現役の化粧品開発者
- 美容雑誌の監修経験あり
- 現役の化粧品開発者が業界の最前線で得てきた知見を「コスメの真実」としてお届けします!
美容雑誌の監修に協力させて頂きました(一部抜粋)
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何故、カネボウ白斑問題は起こったのか?
シミができるメカニズム、及び、それに対応した美白剤(美白の有効成分)については、以下記事を参考にしてください。美白コスメを選ぶうえで、メカニズムと対応成分を知る事は非常に重要です。
では早速、本題に入りましょう。
カネボウが開発した独自の美白有効成分ロドデノール配合の美白化粧品(医薬部外品)に、皮膚が白くまだら模様になる白斑の症状が確認されました。これが、化粧品業界に大きな衝撃を与えた、カネボウの白斑問題です。
「ロドデノール」は、先ほどもご説明した通り、チロシナーゼの活性を抑制する美白剤です。では、「チロシン」と「ロドデノール」の構造式を見てみましょう。
「チロシン」と「ロドデノール」、構造式がすごく似ていると思いませんか?
それもそのはず。
「ロドデノール」は、チロシナーゼの活性化を抑制します。チロシナーゼは、メラニンの出発物質、チロシンに働きかけますが、「ロドデノール」はチロシンに形が似ている。結果、本来、チロシンに反応するチロシナーゼが、形が似ている「ロドデノール」に反応してしまったわけです。
これは「ロドデノール」に限ったわけでなく、チロシナーゼの活性化を抑制する美白剤のほとんどがチロシンに似た形をしています。
何故「ロドデノール」だけに白斑が見られたのか?
正直、詳細は不明ですが、チロシンとの親和性が高すぎて(性質が似すぎて)、チロシナーゼの活性を抑制する過程で生じる何かしらの物質が、メラノサイトを攻撃し、メラノサイトが破壊され消失した結果(メラニンの消失)、白斑が起こったのではと推測します。
ただし、メカニズムに関しては難しすぎて、推測の域を出ませんが、問題は、白斑が予想できなかったのか? 被害の拡大を防げなかったのか?ということです。
と言うのも、部外品の有効成分として国から認可を得るためには、国が定める規定に則った試験が必要です。ロドデノールも同様、この規定に沿って試験データを取得したでしょう。しかし、規定通りの試験法だと、今回のロドデノールの白斑は見逃されてしまう可能性が高い(実際、見逃されてしまい大問題となりました)。ロドデノールのチロシナーゼ活性抑制のデータから、規定通りの試験は勿論、白斑を疑うような追加試験をすべきだったのではないか?
カネボウと言えば超一流の化粧品メーカーで、そこで働く研究員も、超一流の人たちばかりだと思います。そんな優秀な人材の集まりなのに、見逃してしまったことは残念なことです。ただし、あくまで結果論ですから、追加試験を行ったとしても、白斑を防げたかは分かりません。
一番の問題だったのは、最初の白斑被害発覚から、商品回収までに1年半かかったことです。
最初の被害報告は、2011年10月。そして、商品の自社回収が2013年7月。
これほど長い間、いわば、放置していたわけですから、被害の拡大を招いてしまいました。
カネボウの場合は、花王との関係もありますし、ブランドイメージを大きく傷つける事態ですから、回収を躊躇する気持ちは分かりますが、ユーザーの生活を豊かにし、社会に貢献する企業のすべきことではありません。ましてや、カネボウのような超一流企業であれば、ユーザー数も非常に多いと思うので、絶対に許されるべきことではありません。
カネボウには、被害にあわれた方々と真摯に向き合い、誠実な対応をするとともに、2度とこのようなことが起きないよう、企業体質を改善し、今まで以上に素晴しい商品を世に出して頂きたいと思います。
注目の美白コスメ
先ほどご説明した通り、美白剤には様々な種類があります。
「どの美白剤が一番効果が高いのだろうか」と、皆様思っているのではないでしょうか?
しかし、医薬部外品に配合される有効成分に、効果の順位をつける事は出来ません。国が認めた以上、全ての有効成分に改善効果があります。また、美白の有効成分を2つ配合した美白コスメ(医薬部外品)があると思いますが、2つ配合したからと言って、「1つのモノよりも効果が2倍ある!」なんてことも絶対にあり得ません。
ですから、私自身、美白剤について議論する際、効果にあまり着目していません。私が着目している点は安全性です。
美白剤は、「美白効果がある」と、国が認めた成分です。国は、効果は勿論、安全性の高さも認めています。安全でなければ、国から認可を得ることは出来ません。 ※ロドデノールは除く
また、医薬部外品を含むコスメにおいて、「絶対に安全」と、安全性の保証は禁じられております。
以上を踏まえ、安全性の高さを議論することは難しいですが、私は安全性に関しては、市場実績とメーカー規模に置き換えて判断しています。
つまり、昔から使われている成分であれば、実績も豊富で比較的安心して使うことが出来るという事です。そして、メーカー規模が大きければ、安全性を評価する技術に長けているという事です。
「中小メーカーでも良いコスメを開発する」と言う方はいます。それは事実ですが、安全性を評価する技術に関して言えば、大手には到底かないません。
このブログでも再三申している通り、化粧品にとって(医薬部外品含む)一番重要な要素は、「効果」でも「価格」でも「ブランド」でもなく、安全性である、というのが私の信念です。ですから、美白剤に関しても、以前からこのような考え方でしたが、白斑問題が起こって、その想いが一層強くなりました。
そのような意味で、私がおすすめする美白剤は、実績豊富なトラネキサム酸、そして、資生堂独自成分の4MSKです。そして、これらを配合した資生堂HAKU メラノフォーカスEVこそ、私が最もおすすめする美白コスメです。
美白コスメの最高峰、HAKUメラノフォーカスEVの詳細は以下をご覧ください。
※化粧品や医薬部外品は、安全であることが大前提ですが、お肌に合わないケースはあります。万一、お肌に何かしらの異常や違和感をお感じになった場合は、直ちに使用を止め、メーカーの指示に従ってください
おわりに
いかがでしょうか?
美白コスメ選びにおいて、安全性は何よりも重要です。カネボウの白斑問題を教訓に、私たちは製品の安全性と効果を慎重に評価する必要があります。
この記事を通じて、美白成分の理解を深め、自分に合った安全で効果的な美白コスメを選ぶための知識を得ていただけたことを願います。美白ケアは、正しい知識と製品選びから始まります。あなたの美白ケアが、より安全で効果的なものになるよう、この記事がお役に立てれば幸いです。
※本記事の内容は個人の見解であって効果を保証するものではありません