「高品位スクワラン」という言葉を耳にする機会が増えていますが、その実態はどのようなものなのでしょうか?
本記事では、化粧品開発者の視点から、スクワランの特性、その肌への効果、そして「高品位」と謳われるスクワランの意味について解説します。
スクワランは皮脂の成分であり、保湿効果やバリア機能の向上に役立つ重要な成分です。しかし、その純度や由来によって価格や効果に違いがあり、植物由来のスクワランが注目されています。この記事を通じて、スクワランの真の価値と選び方についての理解を深め、より良いスキンケア選択ができるようになります。
本記事の内容
- 高品位スクワランとは何か、現役の化粧品開発者が解説
この記事を書いている人
コスメデイン
- 大手化粧品メーカーで15年以上化粧品開発を担当
- 今も現役の化粧品開発者
- 美容雑誌の監修経験あり
- 現役の化粧品開発者が業界の最前線で得てきた知見を「コスメの真実」としてお届けします!
美容雑誌の監修に協力させて頂きました(一部抜粋)
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スクワランとは?
スクワランは『油(オイル)』です。専門的に言うと『無極性油』です。
スクワランは『皮脂』にも含まれる成分(油)であり、肌のうるおいを保つ保湿効果(エモリエント効果)、肌のバリア機能を高める働きなど、肌を健やかに保つために重要な役割をしています。
スクワランは無極性油の『炭化水素系』であり、「ミネラルオイル」や「ワセリン」と同類になりますが、由来が異なります。
ミネラルオイルやワセリンは、『石油由来(鉱物油)』の油です。石油由来は価格が安いため、古くから化粧品に用いられています。
しかし、石油由来(鉱物油)は『イメージが悪い』ため、昨今の化粧品では配合が避けられ、『鉱物油フリー』が宣伝文句の一つになっています。
スクワランは、ミネラルオイルやワセリンと同様の無極性油の炭化水素系の油ですが、由来は『サメ』です。石油由来(鉱物油)ではありません。
また、炭化水素系であっても、ミネラルオイルに比べ、分子量の幅が狭いため(高純度)、処方化しやすく、イメージも良いため、化粧品に配合されます。
最近では、サメ由来以外に、オリーブ由来の「オリーブスクワラン」、さとうきび由来の「シュガースクワラン」といった『植物由来』も存在します。
ただし、由来が異なっても化粧品の全成分名称は『スクワラン』ですから、全成分名称から由来を知る事は出来ません。由来は、製品の紹介ページを見れば分かる場合が多いです。
皮脂の成分でもあるスクワランは、機能的にも優れた成分です。飽和の炭化水素系ですから、酸化もしません。非常に安定です。しかし、需要が増えるにつれ原料価格が高騰している点が、唯一のデメリットでしょう。
特にサメ由来とオリーブ由来のスクワランは、一昔前に比べ、かなり価格が高騰していますから、現在では、さとうきび由来の『シュガースクワラン』を用いるケースが多いです。
ハーバーの高品位スクワランとは?
ハーバーは高品位スクワランと宣伝し、スクワランを『化粧オイル』として販売しています。
高品位の意味は、その『純度の高さ』です。
通常、合成油以外の油は、全成分上は単一の名称ですが、様々な成分が混入しています。
今回の高品位スクワランは『純度99.9%』ですから、高品位に相応しいかなりの『高純度』と言えるでしょう。
高品位スクワランは効果あり?おすすめ?
純度が高ければ効果が高いという訳ではありません。
純度の高さは、『安全性』や『安定性』に影響を与えはしますが、『効果』にはほとんど影響を与えません。
逆に、純度が高いと原料価格が高額となり、結果的に製品価格に反映されます。
実際、ハーバーの高品位スクワランは、税込み、1540円(15mL)・2750円(30mL)・5060円(60mL)・9350円(120mL)ですから、決して安い買い物ではありません。
スクワランは確かに有能な成分です。ハーバーのスクワランは純度99.9%ですから『高品位』に相応しいです。
純度が高いため、不純物(夾雑物)が限りなく少なく、不純物由来の安全性への懸念や、酸化などの安定性への懸念が払拭されますから、『高安全』・『高安定』である事は間違いありません。
ただし、肌への効果が高いかと言われれば、それは別問題です。
スクワランに代表される油(オイル)は、エモリエント効果やバリア効果のために、非常に有効ですから『化粧オイル』は大変おすすめです。
しかし、『化粧オイル』なら、無極性油の炭化水素系であるスクワランよりも、『極物オイル』の方が私は好きです。
一般的に植物オイルは、極性油のトリグリセライドが多いですが、植物オイルにはビタミンやミネラルなどの『栄養素』が含まれている事が多く、これら成分に美容効果が期待出来るからです。
植物オイルが配合された美容オイルには、99.9%が美容成分からなり、マカデミア種子油やオリーブ果実油などが贅沢に配合された、鈴木ハーブ研究所の『アンデコール高機能美容オイル』があります。
植物オイルに含まれる栄養素によって、スクワラン以上の効果が期待出来るのではないでしょうか。
おわりに
いかがでしょうか?
スクワランはその保湿効果や肌のバリア機能を高める働きから、多くの化粧品に利用されている重要な成分です。特に「高品位スクワラン」として知られるものは、純度の高さが特徴であり、肌への安全性や安定性に優れています。
しかし、純度が高いことが必ずしも肌への直接的な効果を高めるわけではなく、製品の価格にも大きく影響します。
本記事を通じて、スクワランの基本的な知識、その種類、そして高品位スクワランが持つ意味について解説しました。化粧品を選ぶ際には、成分の純度だけでなく、その成分が肌にどのように作用するか、またコストパフォーマンスも考慮することが重要です。スクワランをはじめとする成分を理解し、自分の肌に合った製品を選ぶことが、美しい肌を保つための第一歩です。本記事が、より良いスキンケア製品選びの参考になれば幸いです。
※本記事の内容は個人の見解であって効果を保証するものではありません