- CMとかでよく見る、天然由来成分って何?
- 天然由来成分100%の化粧品ってすごいの?
この記事で分かること
- 化粧品における、「天然由来成分」の意味と真実
最近、化粧品のCMで「天然由来成分100%配合」って表現、よく耳にしませんか?
このCMをやっているのが、無印良品の発酵導入美容液です。
無印良品の発酵導入美容液は、米ぬか発酵液高配合と、天然由来成分100%配合を大きな特徴として、宣伝活動を行っています。
しかし、この「天然由来成分100%配合」って表現、色々と課題があることをご存じでしょうか?
そこでこの記事では、大手化粧品メーカーで15年以上、今も現役の化粧品開発者として活躍し、さらに大手美容雑誌の監修経験も豊富なプロフェッショナルの私が、天然由来成分の真の意味について、詳しく解説します。
これは、化粧品開発に携わる人間しか知らないことなので、結構、驚かれると思います!
この記事を書いている人
コスメデイン
- 大手化粧品メーカーで15年以上化粧品開発を担当
- 今も現役の化粧品開発者
- 美容雑誌の監修経験あり
- 現役の化粧品開発者が業界の最前線で得てきた知見を「コスメの真実」としてお届けします!
美容雑誌の監修に協力させて頂きました(一部抜粋)
なぜ、今、天然由来成分配合コスメが注目されている?
近年、コスメ業界では「天然由来成分」が特に注目を集めています。
これは、消費者の意識が高まり、自然で安全な製品を求める声が増えてきたことが背景にあります。
実際、天然由来成分を配合したコスメ製品は、化学成分に対する不安や、環境への配慮から選ばれることが多くなっています。
まず、天然由来成分は、その安全性が大きな魅力の一つです。
多くの化粧品に含まれる合成成分は、敏感肌やアレルギー体質の方にとって刺激が強く、肌トラブルを引き起こす可能性があります。
例えば、パラベンやフェノキシエタノールといった防腐剤は、肌に負担をかけることがあります。
そのため、これらの成分が含まれていない、よりナチュラルな製品が求められるようになってきました。
さらに、環境への配慮も無視できません。
地球環境への影響を考慮し、持続可能な方法で調達された天然成分を使用することが重要視されています。
このように、安全性・環境への配慮の面から、天然由来成分に注目が集まっていますが、今、注目が集まっている理由は、間違いなく、無印良品の発酵導入美容液でしょう。
様々な媒体で広告を目にします。
以下に、全成分と、実際のCMでも謳っている宣伝文句を記します。
全成分
コメヌカ発酵液、グリセリン、BG、プロパンジオール、ペンチレングリコール、PEG/PPG/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリン、セラミドNP、アラニン、アルギニン、グルタミン酸Na、セリン、プロリン、加水分解ヒアルロン酸、酵母エキス、グリチルリチン酸2K、ジグリセリン、エチルヘキシルグリセリン、コメヌカ油、オレイルアルコール、PPG-7ブテス-10、PPG-20メチルグルコース、ポリソルベート80、PEG-60水添ヒマシ油、キサンタンガム、クエン酸、クエン酸Na
無印良品 発酵導入美容液(製品特徴)
天然由来成分*100%にこだわったコクのある導入美容液。成分の65%以上が、肌にハリとうるおいを与える米ぬか発酵液です。化粧水の前に使用し、保湿成分が角質層まで浸透しやすいなめらかな肌に整えます
*天然成分を化学的に反応させた成分を含みます
ここで一つの疑問が生じます。
この配合成分で、本当に「天然由来成分100%」と言っていいのか?
結論から言うと、天然由来成分100%と言うべきではない!
詳細は次項以降、順を追って丁寧に詳しく解説します!
結論
- 現在、天然由来成分配合コスメが注目を集めているのは、無印良品の発酵導入美容液の影響
- 無印良品の発酵導入美容液は「天然由来成分100%」をうりにしているが、100%とは言うべきではない!
天然由来成分とは? 定義と問題点
定義
天然由来成分とは、自然界に存在する植物、動物などから抽出された成分を指します。
これらは、できる限り化学的な加工を最小限に抑え、自然そのものの特性を活かした形で使用されることが特徴です。
例えば、アロエベラやカモミールといった植物エキスは、そのままの形でスキンケア製品や化粧品に配合されることが多く、その保湿力や鎮静効果が知られています。
問題点
植物エキスや、植物オイルは分かりやすいですが、問題は、界面活性剤と機能性成分です。
これらに対する定義が曖昧、これが、天然由来成分コスメの一番の問題点です。
具体例を示します。
例えば、PEG-60水添ヒマシ油と、PEG/PPG/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリンという成分があります。
PEG-60水添ヒマシ油は界面活性剤、PEG/PPG/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリンは、保湿剤として作用する機能性成分です。
問題は、これら成分に含まれる、PEG, PPGという官能基。
PEGは「ポリエチレングリコール」、PPGは「ポリプロピレングリコール」の略で、これらは石油由来成分になります。
つまり、ここでいう問題とは、
石油由来成分を含む、「PEG-60水添ヒマシ油」と「PEG/PPG/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリン」を、天然由来成分と考えていいのか?ということ
通常、天然由来成分に石油由来成分はカウントしませんが、PEG-60水添ヒマシ油の「水添ヒマシ油」や、PEG/PPG/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリンの「グリセリン」が天然由来(植物由来)ということで、これら成分を天然由来成分とカウントするメーカーは存在します。
天然由来というのは、メーカーの自社基準で決められるのです!
注意
- 石油系成分が含まれていても、一部に天然由来成分(植物由来成分)が含まれていれば、その成分は天然由来成分となる
- 天然由来は、メーカーの自社基準のため、メーカー側が勝手に決められる!
天然由来成分とは? 無印の問題点
無印良品 発酵導入美容液の全成分と宣伝内容を振り返ってみましょう。
全成分
コメヌカ発酵液、グリセリン、BG、プロパンジオール、ペンチレングリコール、PEG/PPG/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリン、セラミドNP、アラニン、アルギニン、グルタミン酸Na、セリン、プロリン、加水分解ヒアルロン酸、酵母エキス、グリチルリチン酸2K、ジグリセリン、エチルヘキシルグリセリン、コメヌカ油、オレイルアルコール、PPG-7ブテス-10、PPG-20メチルグルコース、ポリソルベート80、PEG-60水添ヒマシ油、キサンタンガム、クエン酸、クエン酸Na
無印良品 発酵導入美容液(製品特徴)
天然由来成分*100%にこだわったコクのある導入美容液。成分の65%以上が、肌にハリとうるおいを与える米ぬか発酵液です。化粧水の前に使用し、保湿成分が角質層まで浸透しやすいなめらかな肌に整えます
*天然成分を化学的に反応させた成分を含みます
問題点、お分かりでしょうか?
無印 発酵導入美容液の問題点、それは、
PEGやPPGといった石油由来成分が含まれているにも関わらず、天然由来成分100%と、堂々と大きく宣伝している点です!
無印 発酵導入美容液に配合されている、PEGやPPGといった石油由来成分が含まれているモノは、先に説明した、PEG/PPG/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリンと、PEG-60水添ヒマシ油の他にも、PPG-7ブテス-10、PPG-20メチルグルコース、ポリソルベート80があります。
つまり、無印 発酵導入美容液は、全部で26成分で構成されていますが、その内、5成分に石油由来成分が含まれているのです。
それで、天然由来成分100%と宣伝しています。
おそらく、これを初めてCMなどで見た化粧品開発者はびっくりしたと思います。
この配合成分で、天然由来成分100%と堂々と宣伝するとは、無印マジで?と言う驚きです。
ただ、先ほどもご説明したように、天然由来成分はメーカーの自社基準。
無印良品が、「天然由来成分とはこういうものだ!」と、自社で規定してしまえば、全く問題ありません。
ですから、無印の発酵導入美容液を否定はしませんが、一般的な常識と照らし合わせると、天然由来成分100%というのは言い過ぎだと感じているだけです。
決めるのはユーザーです。
石油由来成分が配合されていても、天然由来と言い切ることに対し、問題ないと考えるならば、気にせずお使いください。
天然由来成分100%という宣伝内容には疑問を持ちますが、商品としては素晴らしいと思います。
無印 発酵導入美容液の問題点
- 石油由来成分が含まれているにもかかわらず、天然由来成分100%と大きく宣伝している
- ただし、天然由来はメーカーの自社基準
天然由来について、メーカーの自社基準故に、メーカー-ユーザー間で誤解が生じやすいです。
これは、天然由来について、統一基準がないことに起因します。
このような問題を解決するために、統一基準ができました。
それが、自然由来指数です。
自然由来指数の詳細は、以下記事をご覧ください!
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天然由来成分配合コスメがおすすめな人
こんな人におすすめ!
- 敏感肌の人
- 環境への配慮を大切にする人
- 化学物質に対して不安を感じる人
天然由来がメーカーの自社基準という問題はありますが、これらコスメは、天然由来成分を多く配合されていることは事実です。
そのため、まず、敏感肌の人にとって天然由来成分のコスメは最適です。
化学成分や合成保存料が含まれる製品は、肌に刺激を与え、炎症や赤みを引き起こすことがあります。
しかし、天然由来の成分は、自然の中で培われた優しい特性を持ち、肌への負担が少ないため、敏感肌でも安心して使用できることが多いです。
例えば、アロエベラやカモミールなどの植物エキスは、炎症を鎮める効果があり、敏感肌に適したスキンケア製品に多く使われています。
次に、環境への配慮を大切にする人にも、天然由来成分配合のコスメはおすすめです。
これらの製品は、環境に優しい製造過程や持続可能な農法を用いて作られることが多く、地球環境への負担を最小限に抑えています。
例えば、フェアトレードで調達されたシアバターや、オーガニック認証を受けた植物オイルなどは、環境保護を意識した選択肢として注目されています。
地球に優しい製品を選ぶことで、日々のスキンケアが環境への貢献にもつながります。
最後に、化学物質に対して不安を感じる人にも、天然由来成分のコスメはおすすめです。
近年、化粧品に含まれる合成保存料や防腐剤が肌や健康に与える影響についての懸念が高まっています。
そのため、できるだけ化学物質を避け、自然なものを選びたいと考える方が増えています。
天然由来成分のコスメは、合成成分に頼らず、自然の力で肌をケアするため、安心して使用できる点が魅力です。
このように、天然由来成分配合のコスメは、敏感肌に悩む人、環境に配慮した生活を送りたい人、そして、化学物質に対して不安を感じる人に特におすすめです。
自然の力を活かしたコスメを選ぶことで、肌に優しいケアを実現しながら、健康的で美しい肌を保つことができます。
天然由来成分配合コスメがおすすめでない人
おすすめでない人
- 即効性を求める人
- 特定の成分にアレルギーを持っている人
- コストを重視する人
- 保存期間を気にする人
- 製品の安定性を求める人
天然由来成分配合のコスメは、多くの人にとって魅力的な選択肢ですが、全ての人に最適なわけではありません。
ここでは、天然由来成分配合のコスメが必ずしもおすすめでない場合について詳しく説明します。
まず、即効性を求める人にとって、天然由来成分配合のコスメは理想的でない場合があります。
天然成分は肌に優しい反面、効果が現れるまでに時間がかかることがあります。
例えば、シミやシワの改善を目的とした場合、合成成分を含む医薬部外品や化粧品の方が短期間で目に見える結果を得られることが多いです。
即効性を重視する方や、短期間で明確な結果を求める方には、天然由来成分のみで構成されたコスメは物足りないと感じるかもしれません。
次に、特定のアレルギーを持っている人にとって、天然由来成分は逆にリスクとなることがあります。
天然由来成分は自然から抽出されるため、その成分に対してアレルギー反応を起こす可能性があります。
例えば、ナッツアレルギーの方がシアバターやアーモンドオイルを含む製品を使用すると、肌に炎症やかゆみを引き起こすリスクがあります。
このため、アレルギーを持つ方は、成分表示をよく確認し、自分が反応する可能性のある成分が含まれていないかを注意深くチェックする必要があります。
また、コストを重視する人にとっても、天然由来成分配合のコスメは必ずしも最適とは言えません。
天然由来成分を使用した製品は、原材料の採取や製造過程においてコストが高くなりがちです。
その結果、同じ効果を持つ合成成分配合の製品に比べて、価格が高く設定されていることが多いです。
もし、コストパフォーマンスを重視してスキンケア製品を選ぶ方であれば、天然由来成分にこだわらず、より手頃な価格の製品を選ぶことが現実的かもしれません。
さらに、保存期間を気にする人にとっても、天然由来成分配合のコスメは向かない場合があります。
天然由来の成分は、化学的な保存料を含まないことが多いため、製品の保存期間が短くなりやすいです。
特に、開封後は成分が酸化しやすく、品質が劣化することがあるため、使い切るまでに時間がかかる方には適していない可能性があります。
また、冷蔵保存が推奨される製品もあるため、管理に手間がかかることを嫌う方には不向きです。
最後に、製品の安定性を求める人にも、天然由来成分のコスメはおすすめできないことがあります。
天然由来成分は、採取する季節や地域によって成分の品質が変わることがあります。
そのため、製品によって使用感や効果が微妙に異なる場合があります。
一定の品質と使用感を常に求める方にとって、こうしたばらつきはデメリットとなり得ます。
このように、天然由来成分配合のコスメは、即効性やコスト、保存期間、成分の安定性を重視する人、または特定のアレルギーを持つ人にとっては、必ずしも最適な選択肢ではないかもしれません。
そのような場合、以下から、ご自身に合った最適な化粧品をお選びください。
天然由来成分系のコスメではありませんが、上記を全て解決した、現役の化粧品開発者がおすすめする化粧水・クレンジング・美白コスメです!
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先ほども述べた通り、天然由来はメーカーの自社基準のため、時に、ユーザー側が不利益を被る可能性があります。
ですから、これらコスメを選ぶ際は、メーカー側の基準をしっかり把握して、その基準に対し、ご自身が共感できるかが、非常に重要です。
共感できるならば、使用すればいいですし、そうでなければ、使用は控えるべきです。
現状、世の中には、多くのメーカーから天然由来成分を配合したコスメが発売されていますが、そのほとんどは、ユーザーに対して基準を明確に示していない!
その中で、HANAオーガニックは別格です。
正真正銘の天然由来成分100%コスメ!
配合成分の配合目的、原産国まで公開しています。
今は天然由来成分配合コスメブームですから、HANAオーガニックのような本物が、もっと世に知られてもいいと思います!
HANAオーガニックの詳細は以下記事をご覧ください。
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おわりに
いかがでしょうか?
この記事では、天然由来成分を配合した化粧品の実際について、その定義やメリット・デメリットを詳しく解説しました。
天然由来成分は、安全性や環境への配慮から注目を集めていますが、その定義はメーカーによって異なるため、消費者が誤解しやすい点もあります。
特に無印良品の発酵導入美容液のように、石油由来成分が含まれていても「天然由来成分100%」と表現される場合、注意が必要です。
私は化粧品開発者として、こうした情報を消費者に正確に伝えることが重要だと考えています。
皆さんが化粧品を選ぶ際には、自分に合った製品を見極め、信頼できる成分表記を確認することが大切なのです。
※本記事の内容は個人の見解であって効果を保証するものではありません