この記事で分かること
- PEG配合コスメの肌への影響
PEGは保湿効果やテクスチャーの改善に貢献する一方で、石油由来の成分であるため、ナチュラルやオーガニック志向の方々には懸念材料となっているのは事実。
そこで、現役の化粧品開発者の視点で、PEG配合コスメの肌への影響を解説します。
この記事を書いている人
コスメデイン
- 大手化粧品メーカーで15年以上化粧品開発を担当
- 今も現役の化粧品開発者
- 美容雑誌の監修経験あり
- 現役の化粧品開発者が業界の最前線で得てきた知見を「コスメの真実」としてお届けします!
美容雑誌の監修に協力させて頂きました(一部抜粋)
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PEGとは?
PEGというのはポリエチレングリコールの略で、様々なモノに含まれ、様々な産業に利用される、我々の生活に無くてはならない成分です。
コスメには、PEG(ペグ)の単体、もしくは、PEGを官能基の一部として導入した誘導体として配合されます。
PEG無配合のコスメを探すのが難しいくらい、当たり前のように使われる成分です。
次項では、「単体」、及び「誘導体」として用いられるPEGの、コスメにおける役割について詳しくご説明します。
単体としてのPEG
PEGは水に簡単に溶ける成分です(分子量による)。ですから、水を含む、化粧水、乳液、クリームなどの基礎スキンケアに良く配合されます。
全成分で、PEF-10やPEG-20、PEG-100などと表示され、10や20、100と言うのは重合度を表し、数字が大きいほど、分子量が大きくなります。
分子量が大きくなるにつれ、液体-半固形-固形と、性状が変化します。
PEGは特に、化粧水で効果を発揮します。
化粧水には基本、「オイル」が配合されていませんから、テクスチャーに変化を与える事が難しいです。
そこで、分子量の異なるPEGを複数配合する事で、テクスチャーに変化を与え、テクスチャーの幅を広げるわけです。
また、水と馴染みが良いため、空気中の水分を取り込むことが可能で、保湿効果も期待できます。
このように、PEGを配合すれば、保湿効果も期待出来ますし、テクスチャーに特徴を持たせることが出来るため、コスメ(特に化粧水)にはなくてはならない成分です。
誘導体としてのPEG
PEGは単体としてだけでなく、PEGを官能基の一部として導入した誘導体としても用いられます。
コスメにおいては、こちらの方が使用頻度が高いと思います。
全成分では、PEG-20水添ヒマシ油や、ステアリン酸PEG-25のように表示され、これらはコスメにとっての必須成分、界面活性剤です。
界面活性剤は、洗浄や分散、乳化などの特異な作用を持ち、あらゆる産業に欠かすことができない成分で、コスメでは主に、洗浄(クレンジング)と乳化のために配合されます。
界面活性剤は一つの分子内に、水と馴染みがいい「親水部分」と、油と馴染みがいい「親油部分」を併せ持つ
PEGは水と馴染みがいいですから、界面活性剤の親水部分(親水基)として大変優秀で、PEG系界面活性剤として、コスメに配合されます。
PEG-〇〇水添ヒマシ油の、数字が大きいほど、PEGの重合度が高いという事であり、水に馴染みやすい(専門的にはHLBが高い)界面活性剤になります。
PEG系の界面活性剤は、洗浄力(クレンジング力)、乳化力、可溶化力、いずれも大変優秀ですから、コスメにとって欠かす事が出来ません。
PEG配合コスメは危険?
コスメに配合されるPEGは、石油由来がほとんどですが、だからと言って危険ではないです。
PEGは、化粧品には古くから配合されている成分で、十分すぎるほどの実績があります。
勿論、お肌に合う合わないはありますが、PEG成分に対してこれまで特段の肌トラブルがなければ、心配する必要はありません。
ただし、世の中にはPEGフリーコスメは存在し、PEGフリーが一つの宣伝文句になっています。
これは、PEGが危険だからではなく、石油由来成分のため、ナチュラル・オーガニックコスメにみられるフリー項目です。
ナチュラル・オーガニックコスメで、石油由来成分フリーや石油系界面活性剤フリーの場合、石油由来のPEG系界面活性剤は配合されません。
ですから、PEGフリーコスメに興味を持たれたのであれば、ナチュラル・オーガニック系にPEGフリーコスメは多く存在します
。
PEGフリーコスメの注意点
一般的にPEGは石油由来成分です。
ですから、「石油系成分フリー」や「石油系界面活性剤フリー」のコスメにはPEGは配合されていません。
しかし注意すべきは、石油系界面活性剤フリーという表現。
例えば、界面活性剤であるステアリン酸PEG-25は、植物由来の「ステアリン酸」と石油由来の「PEG」から構成されています。
PEGが使われていますから、これは石油系界面活性剤に該当するというのが一般的な考えです。
しかし、半分近く、植物由来の「ステアリン酸」が含まれているという理由で、「ステアリン酸PEG-25」を石油由来と考えず、これを配合していても石油系界面活性剤フリーと宣伝する悪質なコスメが存在するのです。
大手メーカーであれば全く心配ありませんが、中小メーカーコスメの「石油系界面活性剤フリー」の表現には、十分ご注意ください。
「PEGフリーコスメ」と「石油系界面活性剤フリーコスメ」は、ほぼ同義です。
ですから、もし、PEGフリーコスメにご興味がおありであれば、以下記事をご覧ください。
現役の化粧品開発者が、おすすめのコスメを厳選して紹介しています。
おわりに
いかがでしょうか?
本記事では、化粧品におけるPEG(ポリエチレングリコール)の安全性について詳しく解説してきました。
PEGは、保湿効果やテクスチャーの改善に寄与する一方で、石油由来成分であるため、ナチュラルやオーガニック志向の方々には不安材料となることも事実です。
しかし、実際に化粧品に配合されているPEGについては、長年にわたる使用実績があり、多くの人々にとって安全であると認識されています。
そのため、過度に心配する必要はありません。
是非、ご自身のコスメ選びの参考にして頂ければと思います。
※本記事の内容は個人の見解であって効果を保証するものではありません