ホットクレンジングは、その温感効果で多くの方に愛用されていますが、肌に悪いという声もあります。
この記事では、ホットクレンジングの肌への影響について、現役の化粧品開発者が詳しく解説します。
温感を生む成分の特性、肌へのメリットとデメリット、さらには適切な使用方法についても触れています。
特に、敏感肌や乾燥肌の方にとって、ホットクレンジングは肌トラブルの原因となり得ます。
この記事を読むことで、ホットクレンジングの真実が分かります!
本記事の内容
- ホットクレンジングは肌に悪いのか?その真実を、化粧品開発者が解説
この記事を書いている人
コスメデイン
- 大手化粧品メーカーで15年以上化粧品開発を担当
- 今も現役の化粧品開発者
- 美容雑誌の監修経験あり
- 現役の化粧品開発者が業界の最前線で得てきた知見を「コスメの真実」としてお届けします!
美容雑誌の監修に協力させて頂きました(一部抜粋)
ホットクレンジングは肌に悪い?
ホットクレンジングは肌に悪いのか?
結論から言うと、ホットクレンジングは肌に悪いです。
それは、ホットクレンジングの成分が肌に悪いのではなく、クレンジング力が低いためゴシゴシやりがちで、この物理的な力が肌に悪いのです。
次項以降、ホットクレンジングのメカニズムとともに、クレンジング力が低い原因と、肌への悪さについて、詳しく解説いたします。
結論
- ホットクレンジングは、物理的な力が加わりやすいため肌に悪い!
ホットクレンジングのメカニズム
ホットクレンジングの特徴的な温感は、主にグリセリンという保湿成分によるものです。
グリセリンは、水分に反応して発熱する性質を持ち、肌になじませることで皮膚の水分と反応し、じんわりと温かさを感じさせます。
これを水和熱と言います。
この温感は、一度反応すると繰り返されることはありません。
また、肌上の水分と反応するということは、人によって肌の水分量は違いますから、人によって感じる温感レベルは異なります。
化粧水や乳液、クリームにも、グリセリンは配合されていますが、熱を感じることはありません。
何故なら、通常の基礎スキンケアには水が配合されており、製造時、「グリセリン」と「水」が触れた瞬間に、既に水和熱が発生しています。
水和熱は、持続するものではありませんし、一度水和したら、再度、熱を発生することはありませんから、グリセリン配合の基礎スキンケアを使用して、熱を感じることはないです。
熱を感じるホットクレンジングでは、配合成分の大部分がグリセリンである事と、水が配合されていない事が必須条件になります。
ホットクレンジングで、水が表示されているケースはありますが、これはエキス由来の水であり、非常に微量なため、水和熱及び、温感に影響を与えることはありません。
これが、ホットクレンジングのメカニズムです。
ポイント
ホットクレンジングの熱の正体はグリセリンの水和熱
ホットクレンジングは塗布によって熱を発生する非常に面白いアイテムです。
主成分であるグリセリンは保湿成分としても優秀です。
しかし、保湿成分として優秀なグリセリンですが、肌の水分に反応する際、肌の水分を奪ってしまうことがあり、特に乾燥肌や敏感肌の方には注意が必要です。
乾燥が進むと、肌の油分と水分のバランスが乱れ、肌トラブルの原因となることがあります。
ホットクレンジングのデメリット
メイクが落ちにくい
ホットクレンジングの最大のデメリット。
それは、
最重要ポイント
ホットクレンジングは他のクレンジングに比べてメイクが落ちにくい!(クレンジング力が低い)
クレンジングで「メイクが落ちにくい」というのは致命的かもしれませんが、その理由を詳しくご説明します。
クレンジングに配合されているメイクを落とす成分は、油と界面活性剤です。
オイルクレンジングやバームクレンジング、クリームクレンジングでは、主に油がメイクを落とし、リキッドクレンジングでは界面活性剤がメイクを落とします。
しかしホットクレンジングは、メイクを落とす源である「油」や「界面活性剤」が、十分な量、配合出来ないです。
微量であれば配合可能ですが、メイクを落とすほどの量を配合すると、必然的にグリセリンの量が少なくなり、温度を感じにくくなるからです。
ポイント
「温感」を重視すれば「クレンジング力」が劣り、「クレンジング力」を重視すれば「温感レベル」が極端に下がる
つまり、「温感」と「クレンジング力(メイク落ち)」は相反するモノであり、両立させる事は非常に難しい。
そして、温感の他に、ホットクレンジングのクレンジング力に影響を及ぼす要素があります。
それが、美容液成分量と安定性です。
高い美容液成分量
ホットクレンジングの場合、界面活性剤を増量すれば、クレンジング力が上がり、メイクが落ちるようになります。
しかし、
ホットクレンジングは大部分がグリセリンですから、90%等、高い美容液成分量を訴求するケースが多いです。
美容液成分90%以上のような、高い美容液成分量を訴求するホットクレンジングをご覧になったことありませんか?
ここで重要なのは、界面活性剤は美容液成分にカウントされないという事。
界面活性剤の配合量を増やせば、メイクが落ちるようになりますが、美容液成分量が減ってしまいます。
高い美容液成分量の訴求を重視するほど、界面活性剤量が減る=メイクが落ちない、となるのです。
安定性
先ほども述べたように、ホットクレンジングの場合、界面活性剤を増量すれば、メイクが落ちるようになる。
しかし、高い美容液成分配合量の訴求がそれを阻みますが、実は、もう一つ阻む要因があります。
それが、安定性。
ホットクレンジングの配合成分の大部分がグリセリンです。
クレンジング力を上げるために配合される界面活性剤は、すすぎの水での洗い上がりを考慮して、親水性(水と馴染みが良い)のモノが多いです。
グリセリンも親水ですから、グリセリンと界面活性剤は馴染みます。
しかし、それには限度があり、その限度を超えると、余分な界面活性剤が外に出てしまいます。
つまり、界面活性剤を増やせばクレンジング力は上がりますが、安定性が悪化するのです。
コスメの場合、製造後3年間の品質保証が義務付けられていますから、界面活性剤があふれ出てしまうような品質では商品として成り立ちません。
以上のように、ホットクレンジングの場合、界面活性剤を増やせばメイク落ちは向上します。
しかし、界面活性剤を増やすと以下の現象が起こり、増量出来ないのです。
界面活性剤を増量すると・・・
- 温感レベルが極端に下がってしまう
- 美容液成分の配合量が減ってしまう
- 安定性に大きな影響を与えてしまう
このように、総合的に判断すると、界面活性剤の配合量には限界があるため、オイルやバーム、クリーム(高内相)に比べると、ホットクレンジングはメイク落ちが劣ってしまうのです。
ですから、ウォータープルーフタイプのメイクや目元用メイクであれば、ホットクレンジングよりも、メイク落ちに優れるオイルやバーム、クリーム(高内相)タイプをおすすめします。
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肌の乾燥
ホットクレンジングのもう一つのデメリット。
それは乾燥です。
ホットクレンジングの主成分であるグリセリンは、保湿成分としても大変優秀です。
ですから、化粧水や乳液、クリームなどの基礎品にはグリセリンは必須成分です。
しかし、ホットクレンジングの場合、グリセリンは肌の水分と反応するわけですから、その際、肌の水分を奪い、「グリセリン配合なのに逆に乾燥してしまう」という事が起こり得るのです。
物理的な刺激は肌に悪い!
冒頭でも申し上げたように、ホットクレンジングは肌に悪いです。
ただし、ホットクレンジングそのものが悪いのではなく、クレンジング行為により、物理的な刺激が加わる事が肌に悪いという事です。
最重要ポイント
ホットクレンジング使用時の物理的な刺激が肌に悪い!
前述したとおり、オイルやバームに比べてホットクレンジングは、メイクが落ちません。
何故なら、温感レベルの低下と美容液成分量の減少、安定性の悪化により、クレンジング成分の源である「油(オイル)」と「界面活性剤」が、十分な量、配合出来ないからです。
ただし、実際ホットクレンジングを使ってみると分かるのですが、
処方内容のわりに、ホットクレンジングはメイクが落ちる
何故なら、
ホットクレンジングは使いやすさを考慮して、ジェルタイプがほとんどです。
ジェル状にしないと、垂れてしまって使いにくいからです。
ですから、グリセリン超高配合のホットクレンジングを、カルボマーなどの増粘剤でジェル状に固める必要があるのです。
通常の、大部分が水のジェルは、すっきりとした使用感ですが、大部分がグリセリンのホットクレンジングジェルは、非常に粘性がある、ねちょっとした感じで、肌に絡みつくような使用感です。
ホットクレンジングジェルは、メイクを落とす源である、「油(オイル)」と「界面活性剤」を十分な量、配合出来ませんが、このねっちょりとした物性によって肌に絡みつくので、処方内容のわりに、メイクが落ちます。
つまり、ホットクレンジングジェルのメイク落ちは、オイルや界面活性剤がメイクを浮かせるではなくて、ねちゃっとしたグリセリンジェルが肌に絡みついてメイクを落とします。
そしてこれが、肌をゴシゴシする行為となり物理的刺激につながるのです。
この、物理的な刺激こそ、ホットクレンジングは肌に悪いの真実です。
ただし、物理的な刺激と使用法に注意すればホットクレンジングは大変面白いアイテムなので、次項ではホットクレンジングのメリットと使用法についてご説明します。
ホットクレンジングのメリット
ホットクレンジングのメリットは、毛穴の開きと肌の柔軟性向上が期待できるという事です。
ホットクレンジングは、その温感効果により、毛穴の開きと肌の柔軟性の向上が期待できます。
ホットクレンジングを肌になじませると、じんわりと温かくなり毛穴がゆるみますから、特に冬場で皮膚が冷たく毛穴が閉じやすい時や、ホットタオル等でじっくりと肌を温める手間なく手軽に毛穴汚れをすっきりさせたい時に効果的と言えます。
また、ホットクレンジングによる温感は、毛細血管の血行を良くし、肌が柔らかくなる効果も期待できます。
これにより、洗顔後に使用する化粧水や美容液、乳液などのスキンケア製品が肌に浸透しやすくなります。
肌が柔らかく整うことで、スキンケア製品の効果を最大限に引き出すことができるのです。
さらに、ホットクレンジングは水系ベースですから、保湿成分が多く配合されていることが多く、ヒアルロン酸やコラーゲン、セラミド、植物由来の保湿成分などが含まれていることがあります。
これらの成分は、肌に潤いを与え、洗顔後の肌をなめらかに整える効果があります。
ホットクレンジングの適切な使用方法
ホットクレンジングは、その温感効果により肌に様々な影響を与えるため、使用頻度と肌タイプに合わせた使い方が重要です。
まず、使用頻度に関しては、肌の状態や肌質によって異なります。
敏感肌や乾燥肌の方は、ホットクレンジングの使用を週に数回に限定し、その他の日は温感のない優しいクレンジングを使用することが推奨されます。
これにより、肌への物理刺激を最小限に抑えつつ、ホットクレンジングのメリットを享受できます。
脂性肌や普通肌の方は、毎日の使用が可能ですが、肌の反応に注意しながら使用することが重要です。
特に、肌に赤みや刺激を感じた場合は、使用頻度を減らすか、他のクレンジング製品に切り替えることを検討してください。
また、ホットクレンジングの使用方法についても、肌タイプに合わせたアプローチが必要です。
乾燥肌の方は、クレンジング後に十分な保湿ケアを行うことが重要です。
保湿成分が豊富な化粧水や乳液を使用し、肌の水分バランスを整えましょう。
脂性肌の方は、ホットクレンジング後に皮脂コントロールが可能な化粧水や美容液を使用することで、肌の油分と水分のバランスを保つことができます。
ホットクレンジングの使用に際しては、肌の状態を常に観察し、肌に合った製品を選び、適切な使用方法を心がけることが、肌トラブルを防ぎ、健やかな肌を保つ鍵となります。
物理的刺激にさえ注意すれば、ホットクレンジングは非常に面白いアイテムです!
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おわりに
いかがでしょうか?
基本、クレンジングは毎日行います。
当然のことながら、日常的な物理的刺激は肌に悪影響を与えますし、アイメイク等しっかりメイクになればなるほど、ゴシゴシが強くなる(物理刺激が増す)ので注意が必要です。
クレンジングの種類を知って、ご自身に合ったモノをお選びください。
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